Leave A Tender Moment Alone

風の吹くまま 気の向くまま

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篠田節子 『長女たち』

「当てにするための長女と、慈しむための次女。それでも長女は親を見捨てる事が出来ない─親の介護に振り回される女たちを描く国民総介護時代に必読の連作短編。」

「家守娘」
幼い頃から優秀で頼りにされていた姉と、出来が悪いからこそ期待もされず、ただ可愛がられてきた妹
離婚し1人で実家の一軒家に戻ってきた姉とは対照的に、早くにできちゃった結婚し、政治家の養父とその秘書の夫を支える為に同居している妹は忙しい
父親が死んでから母親が急激に弱っていき、一緒に住む姉に重く負担が圧し掛かるというお話
まだ恋愛をしたい、仕事もしなくては生活が成り立っていかない姉の葛藤と、そんな姉にすっかり頼り切り、それでいて母親として娘を叱りつける母親の描写はやるせなくなります
そんな困った状態の母親が更に幻覚を見るようになり、とうとう放火をしてしまうけど、実は姉の為だったというオチは本当に何か出来過ぎてるような気がします
親に家を守るよう育てられてきて、長女は損だと思いながら、でも放っておけないという、これからこういう家族が増えていくンでしょうね…

「ミッション」
チベット山岳民族の健康を考え尽くした恩師が急死した為、後を継ごうと村に入った女性が主人公
確かに、こういうその地方独特の文化や考え方の違いをどうこうしようというのは難しいだろうな~と思いますね
ちょっと怖いお話でした

「ファーストレディ」…これも自暴自棄な様に食べる糖尿病の母親の代わりに、名士としての父親の横に立つ娘のお話
「家守娘」と違い、このお話の主人公には弟がいるけど、男と女では母親に対する感じ方や接し方も違うのは分かるけど…なんだか現実的に受け止めるというか、合理的というか、でも割り切れない主人公の気持ちがよく書かれてます

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吉田修一 『怒り』

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『2011年8月。八王子郊外で尾木幸則・里佳子夫妻が惨殺された。血まみれの廊下には、犯人・山神一也が書いた血文字「怒」が残されていた--。事件から1年後の夏、物語は始まる。整形をし、逃亡を続ける山神はどこにいるのか? 房総半島で漁師をする槙洋平・愛子親子の前には田代と名乗る男が、東京で広告代理店に勤めるゲイの藤田優馬の前にはサウナで出会った直人が、母とともに沖縄の離島へ引っ越した小宮山泉の前には田中という男が現れる。それぞれに前歴不詳の3人の男。』

『山神を追う刑事の北見壮介、彼の捜査でわかってきた山神の不思議な生い立ちや80年前に山神の生地で起こった凄惨な事件なども織り込まれ、衝撃のラストまでページをめくる手が止まらない。『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作。』


保育園の先生とウェブデザイン会社の若い夫婦が殺害される事件は、どこか世田谷での一家殺人事件を彷彿とさせるし、逃亡する犯人は英国人女性を殺して逃亡した事件を彷彿とさせます

少し知能の遅れがある1人娘と父親が暮らす海辺の町に現れた田代
母親の都合で、離島に転校を余儀なくされた女子高生と、新しい学校での同級生の男子の前に現れた田中
同性愛者で同じ仲間と遊んで暮らしていた男性が知り合った直人
そして、刑事の北見と南條
素性を明かさない田代、田中、直人
それぞれが疑惑を持ちながらも、信じようとしている男は、本当は犯人かも???という雰囲気で、先が読みたくて仕方なくなるのは、さすが吉田修一だと思います

ただ、この『怒り』だけは、読み返す気になれませんでした
先が気になって読み進めた本は、読み落とした意味がなかったかなぁ~って読み返す事が多いンだけど…
この『怒り』には、映画『グランブルー』のような感じで読み返したくない部分があったり、最後のゾッとする悪意、普通の神経では書かないだろう悪戯書きがあって、もう目にしたくなかったです

『悪人』のように、対する相手に依って印象が変わったりする訳でもなく、何故殺してしまったのかも分からず、だからスッキリと結着がつかないので、先は気になるけど面白いかどうかは微妙ですね
きっと、簡単に、なんかウケる~とか、ムカつく~というだけで、一線を越えてしまう人もいるンだろうな、と思うと怖いです

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荻原浩 『家族写真』


「娘の結婚、加齢に肥満、マイホーム購入、父親の脳梗塞……家族に訪れる悲喜こもごもを、ときに痛快に、ときに切なく描き、笑ったあとに心にじんわり沁みてくる、これぞ荻原浩!の珠玉の家族小説短編集。勝手でわがまま、見栄っ張り、失礼なことを平気で言って、うっとうしいけどいないと困る、愛すべき家族の物語。 」

「結婚しようよ」
「磯野波平を探して」
「肉村さん一家176kg」
「住宅見学会」
「プラスチック・ファミリー」
「しりとりの、り」
「家族写真」

面白かったり、切なかったり、悲しかったり、薄ら恐ろしかったり、色んなお話7編
私が好きだったのは、妻を亡くし男手一つで育てた娘が結婚すると言い出し、自分と妻の当時の思い出を懐かしむお話と、最初はなんだかチグハグな雰囲気の「しりとりの、り」かな
「プラスチック・ファミリー」も実際にそんな人がTVで紹介されていたけど、このお話の人はちょっと切なかったです


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乾ルカ 『モノクローム』

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「親に捨てられ、施設で育った慶吾。母が有名なアマチュア棋士だったことを知った彼は、施設長の手ほどきで囲碁の道に踏み込む。高校を卒業して就職し、独り立ちした慶吾は、無二の親友の手を借りて、自らの過去を見つめ直す。辛い境遇に育った主人公が、囲碁を通して世界と向き合い、成長していく姿を綴る長編小説。スリリングな囲碁のシーンも楽しい。」

「すげー悲しいっていうのは、津波や洪水みたいなもんだと俺は思う。そういうのが大量に押し寄せて、心の中をいっぱいにしちまうんだ。だから、なにを見ても濁った水しか目に入らない。今までちゃんとあったものが埋もれて沈んで影も探し出せない。そいつが満ちてる間は、茫然と眺めているしかないんだ。時間が経って自然に引いていくまで。
─悲しみはずっとはないんだ。人によりけりだろうけれど、いつか必ず水は嵩を減らして、また地面が現れる。でも、そこで気付くんだ。
すげー悲しいってやつは、引いていくときに、一緒に大事なものも根こそぎもぎとって行っちまうんだよ。濁った水が無くなって、初めてそいつが消えていることが分かる。」

悲しみを『心に穴が開く』と表現するけど、津波や洪水みたいだと表現した部分が印象的でした
本当に、圧倒的に押し寄せられてるうちは、ただ眺めてるだけ、時間が過ぎるのを待つだけで精一杯で、色んな事が落ち着いてから、ようやくしみじみ感じるンだろうなぁ…と

でも、この悲しみの表現は主人公がしたものではありません
物心ついた頃から、親に捨てられ施設で育った主人公には、悲しみや孤独というモノがどういう感情なのか、よく分からず、兎に角早く自立したい、強くなりたいと思って過ごしていきます

一気に読みました
とても、面白かったです

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道尾秀介 『貘の檻』

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「かつて父親が犯した殺人。その真相を探る私を次々に襲う異様な出来事。誰が誰を殺したのか。真実は悪夢の中ある─幻惑の極致にいざなう待望の超本格ミステリー」

「ゆうべの夢は獏にあげます」という、悪夢の描写が所々に差し挟まれているのが、私はどうも苦手でした
子供の頃の悪夢を引きずって、現在の生活にまで色濃く影響を及ぼすようになり、仕事も家庭も立ち行かなくなり、逃げて来た生まれ故郷、原点に帰ると、更に事件が起こるというお話

穴堰という水路の話を読んだ時、昔の人は手彫りで地下水路を通すなんて、本当に凄いなぁ~と感心しきり
昔の稲作に対する熱は、年貢制度の為に熱くならざるを得なかったンだろうけど、それでも、各地に残されている水路を見ると、どれだけ水を引き、稲作を安定させるかが百姓やお役人にとっても大事だったのか分かるので、そういう遺跡を観るのは好きです

閑話休題
お話に出てくる穴堰を造る際に開けられた息抜き穴、そして、龍の様にクネクネした水路を水源から水が駆け下り、息抜き穴から押し出される音がする描写は、なかなかドキドキ良かったです
みんなが少しずつ勘違いをして、それも誰かと思いやったの勘違いで、掛け違えていく恨みや殺意には、あんまり共感出来なかったですね
穴堰を使った最後は良かったかな


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貫井徳郎 『乱反射』


「幼い命を死に追いやった、裁けぬ殺人とは? 街路樹伐採の反対運動を起こす主婦、職務怠慢なアルバイト医、救急外来の常習者、飼犬の糞を放置する定年退職者……小市民たちのエゴイズムが交錯した果てに、悲劇は起こる。残された新聞記者の父親が辿り着いた真相は、法では裁けない「罪」の連鎖だった! モラルなき現代を暴き出す、日本推理作家協会賞受賞作。」

紹介にある通り、本当に小市民たちのエゴが1点に集中していって、最後に幼い命が犠牲になるという、なんとも浮かばれないお話でした
中でも運転に自信が無く車庫入れに恐怖さえ抱いている女性が、車体の大きな車に乗り換えるなら私は絶対運転しないと宣言しなかったのが、私は1番嫌だなと思いました
倒木に因って幼児が怪我をするラストまで、倒木に直接関わるようなエゴを何人もが通してしまう訳ですが、救急車が渋滞で身動きとれなくなる渋滞の原因を作った「車庫入れ出来ずに路上に放置した車」が厄介過ぎて、自分も巻き込まれたら嫌だなぁ~としみじみ思いました

救急車には道を譲りましょう



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垣根涼介 『月は怒らない』


「チンピラの梶原、大学生の弘樹、警察官の和田。何の接点もないように見える三人には共通点があった。それはある女の家に通っていること―。市役所の戸籍係で働く恭子は金にも物にも執着せず、相手に何も期待しない。そんな無機質で達観した女に、男たちはなぜ心惹かれるのか。女には、この世界の何が見えているのか。交差する思惑の中から浮かび上がるロクデナシたちの生き様を描いた長編小説。」

『月は怒らない』というタイトルそのままに、怒らないというか、月のように冷めている主人公の女性
月を見上げ、月に照らされ、月を待つ気持ち
昼間の空にも薄ら姿を見せる月
本当に月っていい
でも、こういう恋愛は疲れそう
どうか幸せになってもらいたいと思わせるお話でした



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有川浩 『三匹のおっさん ふたたび』



ご近所限定正義の味方、見参!武闘派二匹&頭脳派一匹が町のトラブルに立ち向かう還歴ヒーロー活劇シリーズ
『三匹のおっさん』の続編です

調度TVドラマ化されて、まぁキャストも合ってるかなぁ~たまに観てたりして面白かったです
「剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。あの三人が帰ってきた! 書店での万引き、ゴミの不法投棄、連続する不審火……。ご町内の悪を正すため、ふたたび“三匹”が立ち上がる。清田家の嫁は金銭トラブルに巻き込まれ、シゲの息子はお祭り復活に奔走。ノリにはお見合い話が舞い込み、おまけに“偽三匹”まで登場して大騒動! ますます快調、大人気シリーズ第二弾。」

前作よりも単純に正義を遂行できないような、ちょっと複雑だったり面倒だったりの内容になってて
パワーアップしてますね

TVドラマのキャストは、なかなか面白い俳優さんを選んだなぁ~という感じ


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