Leave A Tender Moment Alone

風の吹くまま 気の向くまま

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角田光代 『幾千の夜、昨日の月』

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24本もの短編集
「かつての私に夜はなかった」
「夜と恋」の中の『この町では、きっといつだって夜は私の味方なのだ』
失恋した事を実感しながら、しんとした夜を歩いていた記憶、その見知らぬ町の静かな夜が癒してくれるというか、叶わなかったけど楽しかったなと終わった恋を振り返らせ、そして数年後に歩いていた見知らぬ町の夜に、あの頃を思い出す


「夜のアトラス」の中の『かとちゃん、ぺっ』

夜と朝の狭間、異国で見るお月様に圧倒されたり、そういう部分がとても良かったです


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山本文緒 『なぎさ』

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「家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。 佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何をやっても中途半端な川崎は、恋人以外の女性とも関係を持ち、自堕落に日々を過ごしている。 夫と川崎に黙々と弁当を作っていた冬乃だったが、転がり込んできた元漫画家の妹、菫に誘われ、「なぎさカフェ」を始めることとなる。姉妹が開店準備に忙殺されるうち、佐々井と川崎の身にはそれぞれ大変なことが起こっていた——。」

冬乃と菫の姉妹
冬乃と佐々井の夫婦
自由人モリと、お笑い芸人になれなかった川崎君
それぞれの関係性と思い、でも結局は自分の事は自分で考え決着をつけ次へ進む一歩を出さなくてはいけないンだというお話で、その動きが出る前の、妹菫がやってくる前までの、人生の凪のような状態だった久里浜での生活が「なぎさ」なのかな

途中、姉妹でカフェを始めようとするところまでは、表面的にはうまくいっているようではあって、でもうまくいかない
人が分かり合うのは基本無理なんだと思いますね
母娘でも姉妹でも恋人でも夫婦でも友達でも
人間は全部が同じではないのだから
全体的にどんよりとした印象で、以前のような軽やかさはなく、ただちょっと残念に思ってしまいました




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山下洋輔 『ドバラダ門』

分厚い本だったので、お正月のだらだらした雰囲気の中でごろごろしながら読もうと思っていたのが、山下洋輔の『ドバラダ門』

「門を作った張本人、その名は山下啓次郎。おーまいごっど、オレのじいさんが建築家だと。ルーツ探しに旅行けば、出るぞ鹿児島、やっぱり西郷。山下清も乱入し、時空を越えた大騒ぎ。官軍、逆賊を叩っ斬れば、洋輔、ピアノを叩っ弾く。門を壊しちゃならねえと、反対門前コンサート。住民一気に盛り上がり、かつぎ出されたピアニスト――日本文壇をしゃばどびと震撼させた奇著を読め。」

古い建築物が好きなので、この鹿児島刑務所の正門も、いつか観に行きたいと思っています
この門について調べていると、造ったのはジャズピアニスト山下洋輔の祖父であり、その事について書かれた本もあるというので読んでみたいと思ったンですが…

いやぁ~途中までしか読めず投げ出してしまいました
確か、こういう読めないのは桐野夏生『グロテスク』以来、2回目かな
さすがジャズピアニスト! 文章もめちゃジャズセッションな感じで私は読めませんでした
…(^-^;)


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湊かなえ 『山女日記』

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「このまま結婚していいのだろうかーーその答えを出すため、「妙高山」で初めての登山をする百貨店勤めの律子。一緒に登る同僚の由美は仲人である部長と不倫中だ。由美の言動が何もかも気に入らない律子は、つい彼女に厳しく当たってしまう。医者の妻である姉から「利尻山」に誘われた希美。翻訳家の仕事がうまくいかず、親の脛をかじる希美は、雨の登山中、ずっと姉から見下されているという思いが拭えない。「トンガリロ」トレッキングツアーに参加した帽子デザイナーの柚月。前にきたときは、吉田くんとの自由旅行だった。彼と結婚するつもりだったのに、どうして、今、私は一人なんだろうか……。真面目に、正直に、懸命に生きてきた。私の人生はこんなはずではなかったのに……。誰にも言えない「思い」を抱え、一歩一歩、山を登る女たちは、やがて自分なりの小さな光を見いだしていく。女性の心理を丁寧に描き込み、共感と感動を呼ぶ連作長篇。」

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「妙高山」「火打山」「槍ヶ岳」「利尻山」「白馬岳」「金時山」「トンガリロ」
7つの山を登山する女性達のお話で、それぞれちょっとずつ登場人物が重なっていて、連作短編のようになっているのが面白かったです
本の紹介には出ていないけど、私は「火打山」が1番好きかな
山頂について、万歳を叫ぶ女の子2人組に触発されて、バブリーに見える主人公も叫ぼうとするラストがとても良かったです

ここ数年、山ガールやトレッキングってすごく流行っているようですが、私も山に登るのは好きです
小さい頃は親や大人に連れられて、山登りをしていたけど、この本に出てくるような本格的な登山はした事がありません
でも、いつか富士山には登ってみたいなぁ~とは思っています
この本を読んで、先ず「金時山」からかな、と

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米澤穂信 『満願』

「人を殺め、静かに刑期を終えた妻の本当の動機とは─。表題作をはじめ、日常の謎の名手が、人生の岐路に起きる事件の切ない謎を描く珠玉のミステリー短編」

初めて読む作家
「夜警」…新入り巡査が殉職した背景に隠された秘密

「死人宿」…別れた恋人を探しに山奥の温泉宿へ
宿の横を流れる川では硫化水素による窒息死がよく発生する事で、自殺志願者が多く出る宿として有名になっている
宿に居る3人のお客さんの、誰が死ぬ気でいるのか、それが分かれば連れ帰る事が出来るのか?というお話

「柘榴」…生活能力はないけど魅力的な父親と、美人の母親と娘が2人
母親は娘達の将来を考え離婚を決意するが、親権を巡って裁判になり、結局娘達は父親を選択する
とても後味の悪い、というか、利発な割には将来を考えたり、女として生きていく上で親子ともども間違っていると思うンだけど、諸説としてはアリなのかなぁ?と

「万灯」…海外のガス田開発に携わる男が、異国の地で怖い目に遭ったり、悔しい思いをしたりする中で、越えてはならない一線を越えてしまうお話
表題作の「満願」よりも、このお話の方が私は面白いと思いました

「関守」…桂谷峠での事故死について書こうと峠のお茶屋さんに立ち寄ったフリーライターが、まんまと罠にかかってしまうお話
途中でそんな雰囲気ありありでいまいち盛り上がらない

「満願」…表題作
畳屋に下宿していた苦学生が弁護士となり、かつてお世話になったその畳屋の妻の弁護をするお話
下宿している時から家主夫婦の仲がうまくいっていない事、仕事も減ってきている事が知れます
金貸しの男を殺害したのは正当防衛という弁護をするが、実は妻には守りたいモノがあったというお話

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篠田節子 『長女たち』

「当てにするための長女と、慈しむための次女。それでも長女は親を見捨てる事が出来ない─親の介護に振り回される女たちを描く国民総介護時代に必読の連作短編。」

「家守娘」
幼い頃から優秀で頼りにされていた姉と、出来が悪いからこそ期待もされず、ただ可愛がられてきた妹
離婚し1人で実家の一軒家に戻ってきた姉とは対照的に、早くにできちゃった結婚し、政治家の養父とその秘書の夫を支える為に同居している妹は忙しい
父親が死んでから母親が急激に弱っていき、一緒に住む姉に重く負担が圧し掛かるというお話
まだ恋愛をしたい、仕事もしなくては生活が成り立っていかない姉の葛藤と、そんな姉にすっかり頼り切り、それでいて母親として娘を叱りつける母親の描写はやるせなくなります
そんな困った状態の母親が更に幻覚を見るようになり、とうとう放火をしてしまうけど、実は姉の為だったというオチは本当に何か出来過ぎてるような気がします
親に家を守るよう育てられてきて、長女は損だと思いながら、でも放っておけないという、これからこういう家族が増えていくンでしょうね…

「ミッション」
チベット山岳民族の健康を考え尽くした恩師が急死した為、後を継ごうと村に入った女性が主人公
確かに、こういうその地方独特の文化や考え方の違いをどうこうしようというのは難しいだろうな~と思いますね
ちょっと怖いお話でした

「ファーストレディ」…これも自暴自棄な様に食べる糖尿病の母親の代わりに、名士としての父親の横に立つ娘のお話
「家守娘」と違い、このお話の主人公には弟がいるけど、男と女では母親に対する感じ方や接し方も違うのは分かるけど…なんだか現実的に受け止めるというか、合理的というか、でも割り切れない主人公の気持ちがよく書かれてます

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吉田修一 『怒り』

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『2011年8月。八王子郊外で尾木幸則・里佳子夫妻が惨殺された。血まみれの廊下には、犯人・山神一也が書いた血文字「怒」が残されていた--。事件から1年後の夏、物語は始まる。整形をし、逃亡を続ける山神はどこにいるのか? 房総半島で漁師をする槙洋平・愛子親子の前には田代と名乗る男が、東京で広告代理店に勤めるゲイの藤田優馬の前にはサウナで出会った直人が、母とともに沖縄の離島へ引っ越した小宮山泉の前には田中という男が現れる。それぞれに前歴不詳の3人の男。』

『山神を追う刑事の北見壮介、彼の捜査でわかってきた山神の不思議な生い立ちや80年前に山神の生地で起こった凄惨な事件なども織り込まれ、衝撃のラストまでページをめくる手が止まらない。『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作。』


保育園の先生とウェブデザイン会社の若い夫婦が殺害される事件は、どこか世田谷での一家殺人事件を彷彿とさせるし、逃亡する犯人は英国人女性を殺して逃亡した事件を彷彿とさせます

少し知能の遅れがある1人娘と父親が暮らす海辺の町に現れた田代
母親の都合で、離島に転校を余儀なくされた女子高生と、新しい学校での同級生の男子の前に現れた田中
同性愛者で同じ仲間と遊んで暮らしていた男性が知り合った直人
そして、刑事の北見と南條
素性を明かさない田代、田中、直人
それぞれが疑惑を持ちながらも、信じようとしている男は、本当は犯人かも???という雰囲気で、先が読みたくて仕方なくなるのは、さすが吉田修一だと思います

ただ、この『怒り』だけは、読み返す気になれませんでした
先が気になって読み進めた本は、読み落とした意味がなかったかなぁ~って読み返す事が多いンだけど…
この『怒り』には、映画『グランブルー』のような感じで読み返したくない部分があったり、最後のゾッとする悪意、普通の神経では書かないだろう悪戯書きがあって、もう目にしたくなかったです

『悪人』のように、対する相手に依って印象が変わったりする訳でもなく、何故殺してしまったのかも分からず、だからスッキリと結着がつかないので、先は気になるけど面白いかどうかは微妙ですね
きっと、簡単に、なんかウケる~とか、ムカつく~というだけで、一線を越えてしまう人もいるンだろうな、と思うと怖いです

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荻原浩 『家族写真』


「娘の結婚、加齢に肥満、マイホーム購入、父親の脳梗塞……家族に訪れる悲喜こもごもを、ときに痛快に、ときに切なく描き、笑ったあとに心にじんわり沁みてくる、これぞ荻原浩!の珠玉の家族小説短編集。勝手でわがまま、見栄っ張り、失礼なことを平気で言って、うっとうしいけどいないと困る、愛すべき家族の物語。 」

「結婚しようよ」
「磯野波平を探して」
「肉村さん一家176kg」
「住宅見学会」
「プラスチック・ファミリー」
「しりとりの、り」
「家族写真」

面白かったり、切なかったり、悲しかったり、薄ら恐ろしかったり、色んなお話7編
私が好きだったのは、妻を亡くし男手一つで育てた娘が結婚すると言い出し、自分と妻の当時の思い出を懐かしむお話と、最初はなんだかチグハグな雰囲気の「しりとりの、り」かな
「プラスチック・ファミリー」も実際にそんな人がTVで紹介されていたけど、このお話の人はちょっと切なかったです


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